Valeが大好き☆な私の日常ですw


by noctiluca13
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薔薇園

 うちの学校には小さな薔薇園がある。
 図書館の傍にひっそりと。
 なんであんなところに作ったのかわからない。
 綺麗なのにあまり立ち入る人がいない。
 でも通り過ぎていく人達の目にさりげなく入る場所。
 その小さな園で今、
 薔薇達は次々とつぼみを開いている。
 「可憐に」って形容が良く似合う。
 凛として誇らしげなのに儚さを持ったまま、
 空気に薄く薄く芳香を溶かしてく、
 決して甘すぎず強すぎもしない。
 風が吹いて空気の密度が変わって、
 初めて気付くくらいに淡い。

 その色香にふらふらと誘われて、
 園内に入ったら、
 管理のおじさんが剪定をしていた。
 零れんばかりに花弁を広げた色とりどりの薔薇達を、
 鋏が落としていく。
 「咲いたそばから落とさなきゃダメなんですか?」
 聞いたら、
 「これから暑くなるから、咲いた花は落とさないと、木が疲れてしまうんだよ。」
 って帰ってきた。
 「でも綺麗なのに・・・もったいない」
 「それは人間のエゴ」

 考えさせられる一言だった。
 どこまでのエゴを是と言うのだろう?
 私は、花が落とされるのが可愛そうと思ったりはしない。
 必要なことだって分かるから。
 だけど落とされた花が、
 まだ美しいままどこにも飾られる事なく、
 ゴミ袋に入れられていくのは、
 とても悲しい事に感じて、
 会話の最中におじさんが切った薔薇をもらう事にした。

 最初に一番近くに在った赤い薔薇。
 「でもすぐ萎れてしまうよ、花瓶に差したいんだろう?」
 「いいえ、描こうと思います。零れ落ちてしまいそうな感じがいいんです。」
 「あぁそうか、どの色がいいんだい?」
 手に持った真紅の薔薇が美しい。
 「個人的な好みでは赤が好きですね。」
 「そうか」
 そう言っておじさんが選んで手渡してくれたのが、
 先に手に持っていたのとは種類の違う、
 一回り小さな黄色い薔薇。
 偶然のその色に嬉しくなった。
 「ありがとうございます。私研究室に行かなくちゃ」
 「いつでもおいで」

 黄色い薔薇は、
 花が小ぶりなのに抗うみたいに、
 赤い薔薇よりも強く香ってた。
 二つの色の違う薔薇は、
 二つの違った香りを空気に溶かす。

 美しくて、強そうで儚くて、香りは優しくて、
 少し、幸せをくれた。
 
 
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by noctiluca13 | 2008-07-11 22:27 | 学校